2017年11月22日

幼・子グマ猟及び穴猟放任への憂慮(2)岡山県の場合

当欄の表題通りですが、
不整合の目立つクマ猟復活(2)岡山県(2017年11月16日付)の一部再掲から始めましょう。
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岡山県は昨日、平成12年から生息数が減り、絶滅のおそれがあるとして、禁じられていたツキノワグマの趣味猟を解禁しました。期間は15日から1か月で、30頭を上限にするということです。冬篭り中のクマ穴猟や子グマ捕獲が禁じられているかどうかは私の段階では定かではありません。同猟・捕獲禁止の有無については少なくとも私がこれまでの県HPツキノワグマの一部狩猟解禁と捕獲上限数の設定について(※pdf)で知る限りは具体的禁止規定は見当たりませんが、不文律の存在の可能性からも事実関係が分かれば追記等することにしましょう。
※再掲以上
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以下は本件に関する岡山県当局との質疑です。送付は2017年11月16日にして御回答日付は同月20日に迅速にいただいております。
各質問への概略及び「回答」表記を含めていただいた各御回答はそれぞれの「→」以降に掲載しておきましょう。

岡山県自然環境課御中
(略)
質問@
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2017年11月21日

猟友会委員が提案した強引なクマ猟前倒し案@岩手県環境審議会

銃猟者が奥山にてクマを手負いにすれば逆襲されるのは自明(2017年11月19日付)の関連です。
報道によると岩手県は今年6月に開かれた県環境審議会自然・鳥獣部会で県猟友会の委員が提案した平成30年度からツキノワグマの狩猟開始日を現行の11月15日からニホンジカやイノシシと同じ11月1日に前倒しすることを検討しているそうです。
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クマに人間の怖さ学ばせるため狩猟開始日の半月前倒しを検討 イノシシと同じ11月1日に 岩手 

野生鳥獣の狩猟期間は国の鳥獣保護管理法で基本的には11月15日〜翌年2月15日と定められている。東北6県は同法に準拠し、ツキノワグマの狩猟期間を11月15日〜翌年2月15日としてきた。
厄介なのは11月1〜14日にツキノワグマと遭遇した場合。狩猟期間前のため発砲できず、何度か危険な場面があったという報告が県猟友会に届いていた。
ただし、県側の提案が11月15日〜翌年2月15日を11月1日〜翌年1月31日に前倒しする内容で、委員から11月1日〜翌年2月15日に狩猟期間を実質的に延長する意見が多かった。狩猟期間を変更できるのは県環境審議会自然・鳥獣部会で、来年6月か9月に開かれる部会で最終決定する。
県自然保護課の小笠原誠総括課長は「狩猟期間の前倒しにはほとんどの専門家に同意をいただいている。関係機関と協議、調整を進めたい」としている。

こちら2017.11.20 05:57 産経新聞(抜粋)
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記事にある昨年11月20日、ニホンジカの四方を取り囲み、追い込んでから仕留める巻狩でツキノワグマが突然現われ、狩猟者1人が負傷した例については
藪の中@岩手の三頭射殺事案から他県のクマ猟解禁を考える御参照

猟友会代表委員の提案どおり前倒しが実現すれば東北6県で初めてとなるそうですが、県猟友会の恣意ともいえる提案で定説的な期限を動かしてしまうことはいかがなものでしょうか。いったん変更すれば、それがもたらす弊害に少なからぬ方々が気付いた場合も、元に戻す事は事務手続き上からもなかなか困難を要するものと思われます。
しかも当該の昨年11月20日の事故は解禁直後とはいえクマ可猟期に起こったものであり、言わばどさくさに紛れたクマ射殺については法的に抵触したわけでもありません。

クマ猟期に入る前の期間の11月1日から19日に既に猟期に入っている他獣を狩るついでにクマを見つければ自由に射殺してもいい期間を前倒し且つ期限も延長するという実に都合のいい目論みに聞こえます。しかも例の定説でもなんでもない「人間を怖れないクマ」への牽制にあてはめてまかり通ろうとしている事態はあまりに露骨過ぎるのではないでしょうか?

猟期に入る前の、各市長村に設置された非常勤職員たる身分の鳥獣対策実施隊による公務としての他獣駆除業務においても、目的外鳥獣たるクマとの遭遇は生息山域では十分ありえる事ですが、特にその際の対策を制度化などしていませんね。クマを見かけてた場合、別段、捕殺を試みなくても人間の側が静観・放置・立ち去りを選択することで解決するからでしょう。あまつさえ、まさかの事態でクマが隊員に向かってくれば銃刀法や鳥獣保護法での禁止事項の阻却措置は可能なはずです。
しかるにレジャー猟たる猟期内狩猟でも非常時には同様に法令上の制限は阻却されることを鑑みたら、この前倒しにはやはり、クマを見つければ親子連れであれ子グマであれついでに捕獲したい」との猟欲に基づいた打算的なものである疑念は到底拭えません。そもそもクマ猟期外の時期での他獣猟においてクマ遭遇の可能性は猟期前倒しや延長の名分にはなりえません。他獣猟に入山する日を調整すればそれで済むことです。
ここにも提案の真の目的は推して知れるのではないでしょうか。
また他獣猟とてあくまで自己責任です。見かけただけでクマを殺そうとする行為の場合は自得事故に他なりますまい。
銃猟者が奥山にてクマを手負いにすれば逆襲されるのは自明

そもそも県猟友会代表委員の提案であること自体が私見ではうさんくさいことこのうえありません。たかがレジャー猟の利便向上に「人を恐れぬ」クマ云々等と糊塗しているんだかとも言いたくもなります。
またクマ猟期の前倒しと人を恐れぬ「新世代クマ」説との連関の根拠は希薄ではないでしょうか。他県にはクマの生態の専門家でも何でもない狩猟免許を所持される民俗学研究者などクマ委員をされているところもあるようですが、岩手県の場合はどうなのでしょうか。また同県事務局はいつのまにか何名かの専門家を猟友会の利得擁護にと御本人たちの知らないままに誘導している実態はないのでしょうか?
また同県は猟友会案に異を唱える専門家の意見も紹介しなければフェアな行政とは言い難いところです。
岩手県ツキノワグマ管理検討委員会@共生への懸念
門崎博士が「新世代グマ」説を再び斬る

岩手県といえば現在の大日本猟友会会長は同県出身の元県議会議長にして元衆議院議員にして近年では与党から参議院選比例代表区にも出馬されていて政治力の面ではこれまでのどの同会長以上に抜群の力や人脈をもたれた方とお見受けします。今回の不可解な前倒しへの画策は権力や有力をかさにしたとも受け取られかねない提案と考えざるをえないところです。

集票の手足?
posted by yutan at 00:00| 行政との癒着疑惑

2017年11月20日

ニホンジカから基準値を超える放射性セシウムが検出@長野県

長野県林務部の2017年11月17日の記者発表によると富士見町で捕獲されたニホンジカから基準値を超える放射性セシウムが検出され、当分の間、富士見町内で捕獲されたニホンジカの肉については、出荷、販売及び摂取の自粛を要請することになりました。
詳細は同県HPよりこちら御参照

超基準値ははたして富士見町だけでの現象なのでしょうか?
いずれにせよ学校給食へのジビエ(野生肉)利用どころではありますまい。

児童・生徒の体は狩猟(駆除)の受け皿にあらず
セシウム熊の胆等への行政不作為@アーカイブ

posted by yutan at 00:00| 野生肉の危険性等

2017年11月19日

銃猟者が奥山にてクマを手負いにすれば逆襲されるのは自明

逆恨み猟への検討の余地なし(2)狩猟者遭遇事故★追記ありの続報です。

その後の報道によると山中にイノシシ猟に来ていた63歳の男性は3頭のクマを見た際、2頭は逃げましたが残ったメスグマにライフル銃を数発撃って近づいたところ逆襲されたそうです。
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イノシシ猟の男性クマに襲われる
(略)
男性は、3頭のクマに遭遇し、そのうち2頭は逃げ、残りの1頭にライフル銃を数発撃って近づいたところ、襲われた。警察や猟友会などが現場で、死んでいるメスのクマ1頭を確認したという。

こちら11/18 17:18 FNNニュース

イノシシ猟の男性 クマに襲われ大けが 山梨 都留
(略)
男性は地元の猟友会の会員で、午前8時ごろから仲間の2人とともにイノシシ猟のため山に入ったあと、1人で行動していたということです。
その後、ツキノワグマと見られる3頭のクマと出くわし、銃を撃って1頭をしとめたと思い近づいたところ襲われたということです。
男性を襲ったクマは体長がおよそ1メートル25センチで、その場で死んでいて、ほかの2頭は逃げたということで、警察が当時の状況などを調べています。
現場近くでは去年7月にも男性がクマに襲われて大けがをしていて、地元の猟友会は、周辺のパトロールを強化するとともにクマに注意するよう呼びかけています。

こちら11月18日 17時21分 NHK
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記事は自得事故の可能性をいっそう裏づけていましょう。「1頭をしとめたと思い近づいたところ(NHK)」等の記事を読む限りよもや当該のクマ一頭がこの狩猟者に襲い掛かってきたからやむなく発砲して手負いにしたわけではありますまい。
クマ猟ではなくイノシシ猟で入山したのでしょう。記事が事実なら銃でクマを手負いにしたら逆襲されるに決まっています。
母グマ・子グマの連れ立つ習性からも3頭はおそらくは親子連れのクマではないかと思われますが、イノシシ銃猟者はそれらを見かけた際にはそっとして立ち去る優しさや分別は、もしかすると、とにかく大物猟を成功させたいとの猟欲が相殺したのでしょうか?それとも最初からそのような当然の心構えはなかったのでしょうか?いずれにせよこの記事を読む限りはたしてクマを手負いにする必要があったのか不可解に感じる視聴者、読者は多いのではないでしょうか。
後付正当化などがたとえあったとしても今回の銃猟者による手負い化は奥山の中での当事者しか知りえない事案と言えましょう。

子グマと思われる2個体がメス熊がライフル銃で撃たれる前に逃げた理由も大変気になるところです。
銃で手負い化され死んでいたメス熊は報じられている体長からして子グマを2頭連れた母グマである可能性が非常に強いものと思われます。逃げた2頭の子グマはこの先はたして冬篭りも要される厳しい自然環境の中、生きていけるのでしょうか。たとえかろじて生きながらえたとしても空腹に耐えかねての人里出没の原因にもなりかねません。

それから画像にみられる山梨県による注意看板がふるっています。画像や地図を見る限り付近は到底人間の領域ではない奥山です。「この付近にクマ出没」の文言は正しくは「この付近に猟銃男出没」ではないですかとも揶揄したくもなります。
マスコミの見出しも然りです。「イノシシ猟の男性クマに襲われる」は正しくは「イノシシ猟の男性クマを手負いにさせる」等と報じるべきですね。記事文言の被害記述も同様に正されるべきでしょう。自得事故の場合は被害事案とは言えますまい。

加えて、死んだクマを発見したという猟友会は別にこの自得事故事案で「周辺のパトロールを強化する」必要はありえません。奥山にクマが生息するのは当然のことであり、殺生趣味で人間がこんな山域に入山するほうが特殊なことです。それとも「周辺のパトロールを強化する」というのは何か別の意味でもあるのでしょうか。銃猟者の自称「パトロール」を額面通り受け取るのは困難なこととも思えます。
それから男性が手負いにしたあげく捕殺したクマを一体どう処理するのでしょうか。私察する限り暗澹と憐憫を感じざるをえません。

★本日追記
別報道によると成獣雌グマを手負いにさせたイノシシ猟目的に奥山入山した男性は同グマに発砲する前に逃げた2頭にもライフル銃を向けて射殺を目論んでいたようです。
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都留市で狩猟中の男性がクマに襲われ重傷 (山梨県)
(略)
県警によると18日午前9時頃、都留市鹿留の山中で、イノシシ猟をしていた都留市の63歳の男性がクマ3頭に遭遇した。
男性がライフル銃を発射し2頭は逃げたが、弾が当たり仕留めた思った1頭に近づいたところ襲われたという。
こちら[ 11/18 18:09 山梨放送]
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射殺されたのが他の2頭とともにいた雌の成熊であったことから2頭は子グマあるいは幼グマであると考えるのが自然です。そして子グマや幼獣のほうからたとえ銃猟者であっても人を襲うというのは考えにくいことです。両頭が逃げたのはやはりこの男性が一方的にライフルを発砲したからと考えるのが至極自然なことではないでしょうか。

現場は「フィッシュオン鹿留オートキャンプ場」から東側におよそ800メートルの地点とも報じられていますが、同キャンプ場の画像を見る限りは人の領域とは到底思われません。
あまつさえ同キャンプ場すらこの時期は全くのシーズンオフですね。上述に言及した銃猟者の「「周辺のパトロールを強化する」も名分が成立していないのではないでしょうか。

※2017年11月21日後記
猟友会委員が提案した強引なクマ猟前倒し案@岩手県環境審議会

幼・子グマ猟及び穴猟放任への憂慮

自得事故は狩猟制限緩和への口実にはなりえず(2)秋田県の関連です。その前欄も御参照くださいませ。

2009年度から生態系保全を目的に、県猟友会にクマ猟の自粛を求めてきた秋田県は人里への出没が相次いでいることを受けて15日、9年ぶりにクマ猟を解禁し同日は早朝から銃などを携行等したハンターが早朝から山に入ったそうです。この趣味猟期は来年2月15日まで続きます。
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県内でクマ猟9年ぶりに解禁 ライフル銃背負いハンター山へ
(略)
北秋田市の森吉山では、午前7時すぎに地元猟友会の男性3人が猟場に入った。弾薬や無線機などの装備を点検した後、ライフル銃を背負い、物音を立てないように気を配りながらクマの姿や痕跡を探し歩いた。

こちら2017年11月15日 掲載 秋田魁新報
クマ猟が解禁され、猟場でクマを探すハンター=北秋田市
画像検索結果
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来年2月15日までの自由猟期間において悪名高い親子グマ狙いの穴猟@アーカイブが秋田県において禁止されたり自粛要請が出ているとは私は寡聞にして存じ上げません。
むろん自粛要請についてはクマ猟そのものもそうですがその実効性はこと趣味でクマ殺生を楽しむ方々におかれては秋田県に限ったことではありませんが疑問が生じるところです。
無視される自粛要請等@アーカイブ
ましてその自粛要請すら出ていない、穴猟や子グマ、幼グマ捕殺については元来が殺生好きの方々におあkれては公然と行われることは目に見えているのではないでしょうか。
秋田県は穴猟を伝統猟として宣揚しているみたいですが、現在の趣味猟者も子グマ、幼グマを殺す限りは、以下の所為をなしたものと所詮は同じ穴の狢といったところでしょう。
春の巻き狩り及び、穴猟(10)各画像リンク御参照

山中に自然に生息する親グマが殺されれば子グマは生きていけないか、かろうじて生きながらえても餌を求めて人里に出没してしまいます。逆に子グマが殺されればそれに気づかない親グマは人里にも捜索出没をしてしまいます。むろんだからといって親子もろともに殺戮することへの免罪符にはなりえません。クマの生態を専門に扱う学識経験者も同様の指摘をされています。
以下日本クマネットワークによる北海道知事への申し入れを例示としましょう。
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8) 親子連れの捕獲を明確に禁止すること。

9) 捕獲前に対象個体の性年齢階層・子の有無などを識別することが困難な「穴グマ狩り」は禁止すること。
こちら
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親子のどちらを殺しても、或いは親子もろともに殺しても奥山山中の生態系を狩猟遊びが撹乱することは明白と思われ、これが狩猟者や行政がふりかざす「個体数調整」の実態ではないでしょうか。
秋田県はクマ猟解禁をするのであれば、今からでも穴猟および親子グマ、幼・子グマ捕殺禁止を追加で解禁事項に盛り込まなければなりません。

狩猟等のまやかし@アーカイブ

※2017年11月22日後記
幼・子グマ猟及び穴猟放任への憂慮(2)岡山県の場合

posted by yutan at 00:00| クマ猟禁止決定への道のり

2017年11月18日

逆恨み猟への検討の余地なし(2)狩猟者遭遇事故★追記あり

報道によると、18日午前9時ごろ、山梨県都留市鹿留の山中で、イノシシ猟をしていた同市の男性(63)がクマと遭遇し、顔などを負傷されましたが自力で下山され、意識もおありともいいます。
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イノシシ猟の男性、クマに襲われ顔など負傷 山梨・都留
(略)
大月署によると、男性は午前8時ごろから親族2人と山に入り、別々にイノシシ猟をしていた。無線で「クマに襲われた」と2人に助けを求め、先に下山した親族が近くの川にいた釣り人を通じて119番通報した。

こちら2017.11.18 13:32 産経新聞
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負傷者の早期完治を願います。

奥山にクマが生息する事は至極自然な現象です。狩猟で入山した側の自得事故と言えましょう。表題に記したとおり猟仲間や当局におかれては本末転倒の行為がないよう望むところです。
ちなみに都留市では6月にも狩猟免許保持者によるクマ遭遇事故が発生してます。
逆恨み猟への検討の余地なし@狩猟者遭遇事故

また、兵庫県や岡山県などクマ猟が禁猟となって久しい県での行政当局による安易な机上決定よろしくのクマ猟解禁についてもこうした事故発生への憂慮はつきません。有事の際の当局の責任の所在はどうなっているのでしょうか。まさかの無責任体勢でしょうか?

クマ猟禁止決定への道のり@アーカイブ


★追記
その後の報道によると山中にイノシシ猟に来ていた男性は3頭のクマを見た際、2頭は逃げましたが残ったメスグマにライフル銃を数発撃って近づいたところ逆襲されたそうです。これについては
※2017年11月19日後記
銃猟者が奥山にてクマを手負いにすれば逆襲されるのは自明
御参照

射殺は最後の手段にすべきではなかったか?等@八戸市

狩猟者の意見は極力用いないことが肝要の続報です。

八戸市は倉庫内で射殺されたクマ個体を10日に基地内外での遭遇負傷事故を起こしたクマとみなしたそうです。また駆除側は会社関係者が倉庫内に閉じ込めたクマを特定するためドローンを飛ばしたり爆竹を投げ入れたそうです。
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倉庫にクマ、爆竹投げ入れ姿見せたところを駆除

市農林畜産課によると、クマは体長約1・6メートルのオス。倉庫は八戸港にあり、付近では10日に男女3人がクマに襲われてけがをしていた。市は、駆除したのはこのクマだとみている。
警察官や市職員らが駆けつけたが、クマは倉庫の奥に入ったため見えず、倉庫内でドローンを飛ばしても確認できなかった。午前11時30分頃に爆竹を倉庫内に投げ入れたところ、クマが姿を見せたため、同45分頃に窓の外から撃ったという。
男性は「(外に)逃がすとさらに被害が出る」と倉庫のシャッターを下ろし、ドアから脱出した。
同社の海運営業所長(58)は駆除後、クマが撃たれて倒れていた場所を指さし、「近くに出没していたが、まさかここに入ってくるなんて」と話していた。

こちら2017年11月17日 09時03分 読売新聞(抜粋)
駆除されたクマ(15日、青森県八戸市で)=八戸通運提供
画像検索結果

青森で3人襲ったクマか、射殺 機転で倉庫閉じ込め

近くの海上自衛隊八戸航空基地内と周辺では10日、男女3人がクマに襲われて負傷しており、市は体長などから同じクマとみている。
、八戸港の倉庫で従業員の男性がフォークリフトに乗って作業中、開いたシャッターからクマが侵入してきたのを目撃。エンジンを吹かして威嚇すると倉庫の奥へ逃げたため、シャッターを下ろしてクマを閉じ込め、事務所に避難した。

こちら11/16 21:14 北海道新聞(抜粋)
八戸港の倉庫で発見され、射殺されたクマ=15日午後、青森県八戸市(八戸通運提供)
画像検索結果
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八戸市の見立てははたしてDNAによるものあのでしょうか?そうであれば読売はそう報じるべきですが、体長測定のみでの科学的な根拠もない恣意に基ずく見立てであるなら、人身被害もない強引な倉庫内射殺への正当化を目論んだ対外対策と疑われても仕方ありますまい。
午前6時半ごろ発見した男性がクマを閉じ込めたことについてはたして機転であったのかどうかの私見は後述しますが、倉庫内で爆竹を投げ入れた結果、クマは静止していない状態でおびき出されたから、静止が定番の麻酔捕獲の選択はなかったというのであれば、それは射殺の言い訳にはなりえません。獣医や専門官による麻酔捕獲を試みてそれでだめだったら射殺というのであれば何とか理解もできますが、出てきたところをいきなり射殺というのはやはり撃つ気満々であろう人々を配したことがもたらした早計な手段と言わざるをえません。
もっとも狩猟者による「大捕り物」との形容が当初から報じられていたことから、薬務体制は最初から思惑の外にして麻酔関係者は配置しなかった可能性は大いにありましょう。もとより麻酔捕獲は狩猟者の扱う事項ではありません。また首尾よく麻酔が効けば放獣は必至につき、猟銃射殺ありきの選択肢はそれを避けた打算が働いた可能性は大いにあったのではないでしょうか。いずれにせよ射殺を最後の手段にしなかった判断は狩猟者らへの実質丸投げと論難されても仕方ありますまい。

それから男性がクマを発見した午前6時半ごろ倉庫内に閉じ込めた理由や経緯が報じられていますが、その判断もその後の騒動を鑑みると拙速だったのではないでしょうか。山中であれ倉庫内であれクマを威嚇するという行為は一番やってはいけない出来事です。興奮して男性に向かってこなかったことは僥倖と見なさなければなりません。

もとよりクマを外に逃がしても人を襲うとは限りません。たまさか早朝の時間帯に遭遇した人がクマを人為的に刺激したりすれば事故の可能性はでてきますが、この地域において日常茶飯事でクマ遭遇事故が生じていないことからも、生来が臆病な性質を持つクマは自ら人との遭遇を避ける可能性のほうがはるかに大きいのではないでしょうか。早朝のうちに円滑に帰山することも大いにありうることです。つまり倉庫内での猟銃携行者らによる「大捕り物」は十分避けられた状況であったにもかかわらず、「クマは恐ろしい」という単なる巷間情報に基づく間違った刷り込みが狭くていったん入れれば特定困難な空間へ閉じ込めるという判断をもたらしてしまったのではないでしょうか?

またクマが発見されたのは午前6時半ごろですから、実際はもっと前の時間に倉庫に入ったということになります。会社として、「近くに出没していた」との認識があったのであれば、フォークリフトで作業が要される場合でもその日に限ってはシャッターを閉める等、クマが倉庫に入らないような対策をすべきであったことは言うまでもありません。
posted by yutan at 00:00| クマ、安易な駆除・捜索等

2017年11月17日

出会い頭事故からの刺激・誘因は逆効果

報道によると15日午後10時20分ごろ新潟県糸魚川市須沢にある鉄鋼関連の会社の駐車場にて帰宅するため軽自動車に乗り込もうとした50歳代の会社関係者にクマとみられる動物が正面から飛び掛かり男性にまたがるような体勢で引っかいたりしたという遭遇事故が発生し、男性は顔の骨を折るなどの大ケガをしました。幸い命に別条はなしということです。
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クマとみられる動物に襲われ男性ケガ (新潟県)
(略)
駐車場が暗かったこともあり、男性は動物が何だったのか確認できていないというが、傷の状態などから動物はクマだったとみられている。
現場の周辺では毎年、クマの目撃情報があるということで、警察や糸魚川市が住民に注意を呼びかけている。

こちら[ 11/16 19:01 テレビ新潟]
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まずは不運にも負傷された男性の一刻も早い完治を願うところです。
遭遇した動物がクマであるかどうかは確証がないようですが、当局はこの際、狩猟者への出動要請はすべきではありません。
クマの人知れずの人里出没は当地に限らず様々な地域で自然現象として存在します。生来の臆病な性質からクマのほうから人の気配を避けての出没から忍び帰山のパターンがあると思われます。ちょうど登山の際、登山道から至近の茂みの中にはクマが隠れているものの人間を怖がって決して近づかないようなものです。

当地でも注意喚起は人身事故に基ずくものではなく無事故の目撃情報に基づくものでしょう。
かりそめにも捕殺指向の強いと思われる方々による実質的なクマ捜索があれば、当該個体のみならず臆病ながらもひそかに帰山し冬眠(冬篭り)をするはずの無関係個体までおびき出すことになりかねません。また当該個体であってもそれが他人の不運な負傷事故を名分とした実質的な復讐猟であるなら、本来、市町村に設置されている鳥獣被害対策実施隊(非常勤公務員)や市町村が行動を実質委託する駆除隊がなすべき安全確保を目標とした行動とは本質的に異なる娯楽性の強いものとなってしまいましょう。

まして今事案の場合、夜間に出没し早朝に帰山する個体とも思われ、銃猟者による夜間捜索が行われる場合ははクマよりはるかに危険性の高い猟銃器あるいは猟犬からの危機管理等の問題も出てきましょう。昼夜間に限らず狩猟者の行動がクマを刺激し場合によっては手負い化させてしまう可能性もありましょう。

あまつさえ、クマとの遭遇であったかどうかの確証もない現時点で、安易に狩猟関係者に行動を要請する危険性を鑑みれば当局はここは静観し自然帰山を待つことが一番効果的かつ安全な対応といえましょう。
posted by yutan at 00:00| クマ誘引・刺激は逆効果

2017年11月16日

現業公務従事者による政策宣揚はフェアな報道?

前欄(本日付)にては岡山県での17年ぶりのクマ狩猟解禁を報じるNHKと山陽新聞という二つの有力なメディアの報道を見た感想も記しました。

特にNHK報道に見られる現場での公務執行者へ当局が展開する政策正当化の私見を述べさせることが不問視され他分野においてもそうした報道手法が採られるようになってしまえば、結果的に公正中立な報道姿勢を損なうことになってしまうのではないでしょうか?
その私見部分のみ当カテゴリに記録すべく以下に再掲しておきましょう。両報道リンク及び記事引用は冒頭リンク(前欄)にて御覧できます。
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それからNHK報道では15日には美作市の山ではイノシシ檻での錯誤捕獲が報じられていますが、クマ猟では檻の使用は認められていないことからも、同事案を報じる山陽新聞記事でも明らかなように、錯誤捕獲されたクマは法令に沿って早速の放獣が行われたわけですが、NHK岡山放送局はどうしてそれを報じないのかが不可解です。
一方、山陽新聞では確かに当該個体の放獣が報じられてはいますが、それは記事が言うところの「民家から遠い所で見つかり、初めて捕獲された個体でもあるため殺処分の対象外と判断」したのが理由ではなく、法令で錯誤捕獲個体は放獣しなくてはならないからに他なりません。狩猟が解禁され本当は狩猟捕殺してもいいのだが、敢えてその理由で放獣した事案ではないことは明白です。

また同紙は「人や農作物などの被害につながる状況ではないと判断し、狩猟や専用のわなの設置といった特別な対応は取らない方針という。」(記事引用最後部)といった報じ方をしていますが、解禁されたといえど岡山県に限らずクマ狩猟ではクマ捕獲目的でのわなの設置は禁じられている事に加えて、たとえ県や真庭地区猟友会がこの地域では狩猟をしないと決めても他の地域からクマ狩猟に来る可能性を捨象した記事になっているのは違和感を感じてしまいます。またイノシシなど他獣捕獲目的用のわな設置を決めるのは県や猟友会ではなくあくまで市町村である現実を鑑みても記事との齟齬を感じました。
記事中の主語述語の曖昧さとともに、当該紙に限らず記者におかれては極力、一般読者に誤解・誤読の入る余地のない報じ方をしていただきたいものだとつくづく思ってしまいました。

それから再度NHK報道について言及しましょう。私もテレビの画面を通して見ていますが、特定鳥獣専門指導員の発言も気になるところです。文言記事では「やっぱり・・」との強調副詞が削除されていますが、テレビ音声ではその語句をも使用し一般的にも論議の分かれる「頭数調整」の必要性を強調されていました。

県が任命しそのほとんどが狩猟者から構成される鳥獣保護員とほぼ同職思われる岡山県の特定鳥獣専門指導員の言動ですが、公職の肩書きのうえでの私見開陳はフェアではありません。例えば他の公務事案で市や県の現業職員が施行する業務の機軸としての政策宣揚や正当化を得意げにメディアに出て行うでしょうか。私はそんな光景は寡聞にして存じ上げません。政策をマスコミに宣揚・広報するのは、あくまで主管課課長(所長)などそのセクションでの責任上位にある役職の方もしくは当該課のスポークスマン担当者ではありませんか。
今回の特定鳥獣専門指導員の言動は不特定から誤解を与えかねない軽はずみな取材対応と考えざるをえません。県も狩猟者への丸投げ等の誤解を受ける要因ともなりましょう。

公務集団たる各市町村に設置される鳥獣被害対策実施隊についても同じことが言えますが、実施隊員にせよ特定鳥獣専門指導員にせよ彼らは自治体担当課の広報を担っているのではありません。メディアに出てしたり顔で一方的に「頭数調整」を説くのではなく粛々とした職務の遂行に専念すべきではないでしょうか?

駆除を鳥獣保護員が決める怪(2)
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以上、今回の報道そのものへの私の感想です。

「個体数調整」のまやかし

不整合の目立つクマ猟復活(2)岡山県

不整合の目立つクマ猟復活@岡山県の続報です。

岡山県は昨日、平成12年から生息数が減り、絶滅のおそれがあるとして、禁じられていたツキノワグマの趣味猟を解禁しました。期間は15日から1か月で、30頭を上限にするということです。冬篭り中のクマ穴猟や子グマ捕獲が禁じられているかどうかは私の段階では定かではありません。同猟・捕獲禁止の有無については少なくとも私がこれまでの県HPツキノワグマの一部狩猟解禁と捕獲上限数の設定について(※pdf)で知る限りは具体的禁止規定は見当たりませんが、不文律の存在の可能性からも事実関係が分かれば追記等することにしましょう。
※追記
その後、上述の捕獲は岡山県では特に禁じられていないことを確認しました。
これについては欄末後記リンク
幼・子グマ猟及び穴猟放任への憂慮(2)岡山県の場合御参照
※追記以上

さてクマ猟解禁報道です。
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ツキノワグマの狩猟 17年ぶり解禁 岡山
(略)
期間は15日から1か月で、30頭を上限にするということです。美作市の山には、地元の猟友会の人たちが集まり、早速イノシシなどを捕獲するために仕掛けたわなに、雌のツキノワグマ1頭がかかっているのが見つかりました。
岡山県の特定鳥獣専門指導員の藤原道広さんは「住民の安全を守るために頭数の調整は必要だ。ただ、クマの狩猟の経験者は少なく、どれだけ捕獲できるかは見通せない」と話していました。

こちら11月15日 18時10分 NHK (抜粋)

ツキノワグマ17年ぶり狩猟解禁 岡山県、初日は目立った動きなし

美作市川上の県道沿いの山林では、ツキノワグマ1頭がシカやイノシシ用のくくりわなで捕獲された。県などによると、雌で体長1・3メートル、体重80キロ。同日午前8時ごろ、地元猟友会メンバーがわなに掛かっているのを発見した。
県美作県民局勝英地域事務所の職員が麻酔銃で眠らせた。民家から遠い所で見つかり、初めて捕獲された個体でもあるため殺処分の対象外と判断し、個体を示すタグと行動範囲を把握する衛星利用測位システム(GPS)を取り付けた首輪をはめて山奥に放した。
10月末時点で、誤って有害鳥獣用のわなに掛かる「錯誤捕獲」2件、出没8件を数える真庭地区猟友会の管内(真庭市、新庄村)。人や農作物などの被害につながる状況ではないと判断し、狩猟や専用のわなの設置といった特別な対応は取らない方針という。

こちら(2017年11月15日 22時24分 更新)山陽新聞 (同)
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解禁の名分という目撃数増加については当カテゴリ関連各欄で紹介させていたであいた数理統計専門家の見解などを鑑みても理由にはなりえません。
また、クマの錯誤捕獲については罠を設置する狩猟者側がたとえば国や県の指導通りに箱罠上部にクマ脱出穴を設置するとか、括り罠びついては直径12センチ以内規制を遵守すれば大幅に減少するはずです。奥山から檻などに入れた囮の餌の臭いに誘引されて出没する原因を人間が作り出したことを忘れてはなりません。出没増は人間の側の責任でもあるのです。
錯誤捕獲を防止せよ!@アーカイブ

それからNHK報道では15日には美作市の山ではイノシシ檻での錯誤捕獲が報じられていますが、クマ猟では檻の使用は認められていないことからも、同事案を報じる山陽新聞記事でも明らかなように、錯誤捕獲されたクマは法令に沿って早速の放獣が行われたわけですが、NHK岡山放送局はどうしてそれを報じないのかが不可解です。
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posted by yutan at 00:13| クマ猟禁止決定への道のり